Vol.38 ◆この言葉の表現、あなただったらどう解釈します?
先日の教育テレビで、「スーパーレッスン・巨匠に学ぶピアノ」と題して、マリア・ジョアン・ピレシュというピアノの巨匠による、テレビを通じたピアノの公開レッスンがありました。
生徒達は、いろんな国から集まった若手のピアニスト6人で、一人一人がかなりの腕前です。ところが、弾くそばからビシバシと巨匠の優しい?指導が入ります。そのほとんどが、言葉で表現しているんです。
●放心気味に…。●すばやい息で…。●ファンタジーを感じながら…。●さまよっている感じで。●カーテンの向こう側で音が鳴っている感じね。●スタッカートがいろんな意味で中間的なの。●恐れずに、止まることを学んで下さい。●「間」が表現に奇跡を起こすのよ。●世界で最初の音は、神の息よ。
生徒たちは、その言葉の指示を一所懸命「音」で表現しようとします。そして、時には巨匠が自ら手本を示しますが、するとどうでしょう、巨匠が弾くとその言葉の意味が、「音」になって何となくこちらに伝わって来る感じがします。うまく言葉では表現できませんが、明らかに生徒とは音の響きが違います。
レッスンが終わって生徒からのいろいろな質問に巨匠が答えていたことに、とても印象に残った話しがありました。
「コンクールなどで、競争に熱中すると失うものが大きいです。自分自身を知ることが出来れば、必ず道は開けます。」
さすが60年のキャリア、若い時には精神的にかなり追い込まれた時期もあったと話していましたが、一つ一つ話す言葉にものすごいパワーを感じました。
生徒に指導していた表現一つ一つが、巨匠の歴史なんですね。

